『サブリエル 冥界の扉』 (Sabriel) [1995] [読書]
古王国記シリーズ (The Old Kingdom series) 第一弾
ファンタジーとしての手法に新しさは感じられませんが、主人公を中心とした人物設定がややこしくなくスンナリ読むことがでけます。
『壁』のむこう側の古王国でなにかが起こり、父親のアブホーセンの身に・・・
魔術、死霊、フリー・マジック、ネクロマンサー等々のファンタジー好きのココロをクスグル小道具やお馴染みの設定・・。
18歳の主人公サブリエル(女の子)が、苦難を乗り越えながらひとつひとつ解決していきます。父親を探す旅と同時に、魔術師としての修行も続けていく姿を描いていきます。
人間の住む世界と魔術と死霊の世界が『壁』で区切られているという設定はどこかで聞いたことがある様な感じですが、判りやすいといえばそれまで・・。
作者のガース・ニクスはオーストラリアのファンタジー作家で、この作品で1995年オーストラリア・ファンタジー大賞受賞、1997年度米国図書館協会ベストブック選定、の栄誉を受けている。他に代表作として、『セブンスタワーシリーズ』がありこちらも多くのファンの心を掴んでいる。
主人公が若い女子の活躍なので、映画化してもヨイかもしれません。
読んだ後に、シーンごとの映像が自分の頭の中で再構築しやすいのでTVシリーズとかでもいいかも!
『古王国記シリーズ』として、このサブリエルの続編として、 2001年 『ライラエル 氷の迷宮』 (Lirael) 、2003年 『アブホーセン 聖賢の絆』 (Abhorsen)があります。
マイクル・コナリー :天使と罪の街(上・下) (講談社文庫) [読書]
全米ミステリー界を代表するマイクル・コナリーの代表作品として知られている、ハリー・ボッシュのシリーズもの第10弾。
この作品は他のコナリー人気作品、『ザ・ポエット』と『わが心臓の痛み』→『夜より暗き闇』の結末を描いているので、コナリー作品の人気の高い作品を統合させる形で作られていく・・。したがって、前述の作品すべてを呼んでいると面白さは倍増するばかりでなく、未読のファンもそれまでの作品を読まずにいられなくなること必至!
コナリーの作品の特徴である、米国の西海岸を中心とした地理的条件や風土が巧みに利用されている点も見逃せません。
ボッシュを中心として、『ザ・ポエット』のFBI捜査官レイチェルと『わが心臓の痛み』の元FBIプロファイラーのテリー・マッケイレブの活躍が、過去の事件との関わりを解き明かしていきます。
個人的には、『ザ・ポエット』と『わが心臓の痛み』→『夜より暗き闇』そして、ボッシュ・シリーズの、『トランク・ミュージック』『エンジェルズ・フライト』『シティ・オブ・ボーンズ』『暗く聖なる夜』と読んでからこの作品を読まれることを望みます。(結局のところ全部読むのかっ・・・)
現代ハードボイルドの最高峰
ロイス・マクマスター ビジョルド - 無限の境界 [読書]
無限の境界 (創元SF文庫) (文庫)
ロイス・マクマスター ビジョルド (著), Lois McMaster Bujold (原著), 小木曽 絢子 (翻訳)
ロイス・マクマスター・ビジョルド女史によるスペース・オペラの傑作シリーズ。
主人公である、マイルズ・ヴォルコシガンのファミリーにまつわるお話がメイン。
世界的なSF作品に送られる、ヒューゴー賞・ローカス賞を何度も受賞している人気シリーズでもあります。現在のところ作者は、ファンタジー系の作品を手がけているのでこのシリーズは今後の発展があるかは不明。
1990年代におけるシリーズの充実ぶりは、作者とともに作品の主役たちが成長したからに他ならないと思いまっす。
ユーモアを交えながら、ハードSF的な展開や設定と巧みな人物描写が人気の秘密かもしれない。そこは、女流作家特有の持ち味といえるかもしれまへんなぁぁ。
この作品は、傭兵艦隊提督マイルズが回想する冒険の数々。故郷の山村で無知と偏見の故に起こった殺人事件の調査に赴く「喪の山」、悪徳と腐敗の商業惑星の遺伝子研究所に潜入する「迷宮」など、ヒューゴー/ネビュラ両賞受賞作を収録。
ジェフリー・ディーヴァー :『魔術師(イリュージョニスト)』 [読書]
ジェフリー・ディーヴァーは、リンカーン・ライムシリーズの”ボーン・コレクター”を筆頭に人気のあるミステリ作家です。この『魔術師(イリュージョニスト)』はリンカーン・ライムシリーズ第5弾で、最高作と言われている「ボーン・コレクター」「コフィン・ダンサー」に次ぐ面白さだと思います。
今回、四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムと敵対するのが、プロのマジシャンである「マレリック」・・・マリックではない。
この二人の対決にライムの助手でもある警官のアメリア・サックスや、マジシャンのタマゴであるカラにも捜査協力し、物語は緊張感持ったまま二転三転するジェットコースター的ストーリー展開。
はっきり言って一気に読ませるので、寝不足の日が続きます。
トリックの謎解きの部分は、マジックのネタ当てに近い感覚なので飽きることなく読み進めることができます。
こういった作品こそ映画化すべきと思うのですが・・。
デンゼル・ワシントンはもうこの役をやらないのだろうかぁぁ・・・。
江戸川乱歩 : 江戸川乱歩全集 [光文社] [読書]
アア、何ということでしょう。
昭和を代表する名探偵、明智小五郎の活躍で知られるシリーズを網羅するだけでなく、江戸川乱歩の作品を文庫でまとめた全集。
過去に江戸川乱歩の全集と呼ばれたものは数多く出版されてきましはたが、現在の所、一般的に入手できるものとしては決定版といえましょうゾッ!
さらに過去に出版された全集のあとがきを複数掲載しており、乱歩自身が作品に寄せる思いが自体によって変化していることが推察できます。そして、オリジナル時のよみがなやフリガナを現代版に直している点もポイント高し!
大正時代末期から昭和初期までの短編作品は、エロ・グロの見本市と言える内容であります。後に手がける少年探偵モノは、乱歩自身が年齢とともにエロ・グロ度を少なくしていった家庭も読み取れます。
個人的には、カタカナで感嘆詞としてアア、・・・・と記述するところがなんとも言えずゾクゾクであります。
ポプラ社から出されていた少年探偵シリーズの挿絵から、想像力を膨らませて夜ごと恐々していた時代を思い起こします。
佐伯 泰英 / 驟雨ノ町―居眠り磐音江戸双紙 (15) 2005 [読書]
業界をアッと言わせた、文庫書き下ろしのシリーズで日本一の発行部数を誇る人気時代小説作家、佐伯 泰英の人気シリーズ。
どのお話も水戸黄門のようなお決まりの展開で安心して読み進められるのが特徴。
主人公の居眠り磐音は、いつもは寝ているかのような感じだが、刀を握らせれば直心影流の達人で悪者をバッサリと斬っていく、その姿に世の悪者を退治してくれるヒーロー像を重ねて・・・。
なぜ今時代小説なのかということはこの作品や、もうひとつの人気シリーズ(こちらが佐伯 泰英、最初の時代もの)「密命」シリーズの金杉惣三郎にも共通しています。
そして、この居眠り磐音江戸双紙シリーズは、出版社の良き取り計らいによって、文字も大きめで行間もたっぷりと取ってあるので大変読みやすい作りでごわすっ。
そこが人気の秘密かもしれませんが、お話がとっつきやすく江戸文化をたくみに紹介しながら進む点もポイント高し・・ですかね。
それにしてもこの佐伯 泰英さん、その他にもいくつもシリーズものを立ち上げており、毎月のように新刊を発行しているスゴイお方である・・。だからこそ日本一の発行部数の人気作家といわれているのでしょう。
ロバート・ラドラム [単独密偵] [読書]
ロバート・ラドラムといえば、マット・ディモン主演の2本の映画化作品ジェイソン・ボーン・シリーズが特に有名でありますが・・・
ラドラム作品に共通する点は、影の組織や闇の暗殺者、表では活動できない非合法なものなどが取り上げられています。
今回私が目にした作品は、そんなラドラムの世界を味わうことのできる仕上がりとなっています。もっともラドラム晩年の作品なので、この作品からラドラムに入る方は少ないと思いますが、実際の世の中でもスパイ活動が報じられたり、ネット社会の危うさが露呈する昨今なので・・・そりはそれと読めばフムフムといった感じも無きにしも非ず・・・。
いつの時代も、諜報活動が頻繁に行われている現実を無視はできませぬなぁぁ。
しかしだ・・・この「単独密偵」というタイトルだが・・もっとシャレたものにできなかったものかと・・。原題の・・プロメテウス・・を取り入れてもよかったのでは??
これでもっかっっ、て感じのSFの要素を・・ [読書]
SFの多くの賞を受賞したダン・シモンズの代表作ですね。
はまると寝る暇も惜しんで読みふけるSFファンもいたとのこと・・・
さすがにこの物量にとまどうかもしれないでしょう・・
なかなか映画化されないのは、専門用語が多く出てくるからとも言われますが・・
世界観からすればスター・ウォーズのような長いスパンで作るとか、良い脚本になれば出来るかなぁぁ。
文庫では全8冊にもなりますからねぇぇ。がんばりましょ!
個人的には生頼範義画伯のイラストを見てるだけで想像力を刺激されれ